「そういえば、名前は何て言うの」


笑いながら歩いたところで、妃來が思い出したように聞いてきた。

一葉のほうを見てみると、一葉も不思議そうな顔をしている。


「あれ、言ってなかったっけ」


妃來は今日初めて知ったから言っていないのは分かるが、そういえば一葉にも言っていなかったかな・・・



手を頭の後ろに組んで目線を空のほうに向ける。

俺的にはこっちに来いという合図なのだが、空には全く伝わっている様子は無く困ったようにこちらを見ている。


「こっちに来いってことだよ。

分かるだろ」


慌ててこちらのほうに早歩きで来る姿は少し危なっかしく見え、今にも転ぶのではないかと思わせた。


「また、自分に都合のいいことばかり考えている。

翔はいつも自分にとって都合のいいことばかり考えているよね」


そのことを聞いて、空は今にも「確かに」と言いたそうな顔をして足を止めた。

妃來や一葉は付き合いが長いからお互いのそういうことを分かっているからいいとして、お前はまだ出会って一週間くらいしか経っていないだろう。

少し表情を曇らせて空を見ると、さすがに俺の思っていることを察したらしい。


「あ、ごめんなさい」


まあ、別にいいんだけど。