「ねえ」


妃來が優しく笑いながらこちらを向いてきた。



いや、よく見ると俺の少し横辺りを見ていて、俺ではなく空に向かって話しかけているのだろう。

それに空も気づいたのか、はしゃぐのを止めて背筋を伸ばして妃來を見つめていた。

見つめ合っている二人、いや、妃來には空が見えないのだから見つめ合っているとは言えないが、きっと二人は見つめ合っているのだろう。


「翔のところばかりじゃつまらないだろうから、たまには私のところに遊びに来て。

私は幽霊とか見えないから、夢に出てきてよ」


優しく微笑むその顔は、俺が一番好きな妃來の表情だった。


「は、はい」


「いや、元気良く返事しても聞こえないから」


「ああ、そうでした。

えっと・・・

はい、私も妃來さんの夢に出れたら出たいです」


「いや、だからお前の声は聞こえないから」


優しく微笑んでいた妃來が大きく笑うと、それに釣られてか一葉も一緒に大きく笑っていた。

二人を見ているとこちらもなんだか面白くなりやっぱり笑ってしまい、最後は四人で笑い合っていた。