「ここ・・・」
その沈黙を破ったのは・・・
俺だった。
「あいつが自分の壁を壊したところなんだ」
俺は夜景を見ながら、二人は俺とは反対に夜景に背を向けていた。
きっと、今の俺は自分でも情けないくらいに悲しい表情をしていると思う。
それに気付かないようにと、二人なりの気遣いなのだろう。
「考えてみると、馬鹿というか、失礼というか。
自殺した奴を連れてくるようなところじゃないよな。
どんなふうにしたのか分からなかったけど、飛び降りていたらこんなところ絶対に来たくないのに」
夜景が滲んでいく。
いくら目を閉じては拭って開けても、すぐに滲んでいった。
「でも、あいつはこの夜景を見た。
自分の作った壁を壊したんだ」
どちらかが「うん」と小さく声を出し、二人とも頷いた。
「そんなに長くはなかったけど、あいつとの思い出は色々ある。
だけど、今は・・・
今はこの涙が枯れて、視界が滲まずにはっきりとしても、目の前にはもうあいつはいないんだ」
両手で必死に涙を拭う。
手が擦れて、瞼や目の周りが少々痛くなってくるが、構わずに力強く拭う。
その沈黙を破ったのは・・・
俺だった。
「あいつが自分の壁を壊したところなんだ」
俺は夜景を見ながら、二人は俺とは反対に夜景に背を向けていた。
きっと、今の俺は自分でも情けないくらいに悲しい表情をしていると思う。
それに気付かないようにと、二人なりの気遣いなのだろう。
「考えてみると、馬鹿というか、失礼というか。
自殺した奴を連れてくるようなところじゃないよな。
どんなふうにしたのか分からなかったけど、飛び降りていたらこんなところ絶対に来たくないのに」
夜景が滲んでいく。
いくら目を閉じては拭って開けても、すぐに滲んでいった。
「でも、あいつはこの夜景を見た。
自分の作った壁を壊したんだ」
どちらかが「うん」と小さく声を出し、二人とも頷いた。
「そんなに長くはなかったけど、あいつとの思い出は色々ある。
だけど、今は・・・
今はこの涙が枯れて、視界が滲まずにはっきりとしても、目の前にはもうあいつはいないんだ」
両手で必死に涙を拭う。
手が擦れて、瞼や目の周りが少々痛くなってくるが、構わずに力強く拭う。



