「ごめんな、こんなところまで呼び出して」


夜の八時。


夜景を見るには見頃の時間帯ともいえるこの時間に、俺は一葉と妃來を呼び出した。

メールしてから妃來が原付を持っていないということに気付き、慌てて場所を変えようとしたが、友達から原付を借りてくれた。


空が自分の壁を壊した場所


まさに今の俺が、自分が作った壁を壊すにはここしかないと思った。


「へえ、凄く綺麗な夜景じゃない」


この場所のことを話したことがなく、どうやら二人とも初めて来たようだった。



夜風が気持ち良く、しばらく沈黙のまま夜景を見ていた。