そういえば、月の魔力ってどうやったら分かるの?


…なんて至極基本なことを今更思うなんて、頭弱いのかなこの子。



取り敢えず手をかざしてみた。


…特に何も起こらない。


ふっと溜め息をついて手を下ろした。


「ねぇ」


突然後ろから聞こえた男の子の声。


振り向くと、茶髪の綺麗な男の子が立っていた。


…満月でよかった。


これだけ明るくなければ、この美しさはわからなかっただろう。

まるで、王子さま。


「ねぇ、君」


「あ…なに?」


「この辺にさ、可愛い子いない?」


「……は?」