ナンパ男との恋3

輝樹の後をうつむき加減で歩き
部屋のチャイムを鳴らすと
輝樹が来るのを
待ちわびていたように
バタバタと
足音が部屋の中から聞こえる。

勢い良く扉が開くと

「もう~、遅いってば!」

と、輝樹に笑顔で言いながら
私と目が合うと
一気に 笑顔が消えた。




「その様子だと
この前と同じで
例の男が帰ったあとか?」


「あ、うん・・・」

「じゃあ、もう帰っていいな?」

「・・・・・」

「つーかさ・・・
たしかに 俺が
その男と話つけてやるって言ったけどよ・・・
俺も、俺の生活ってのがあんだわ。
サキも分かんだろ?」

「それって・・・
もう 電話するなって事・・?」


泣きそう・・・だけど
我慢してるのだろう・・・
唇が 微かに震えている。


「そういうわけじゃねぇんだけど・・」


いつもの輝樹なら
突き放そうとするのに・・・
やっぱり、この人には
それができないようだ・・・。


「彼女の電話にかけた事
怒ってる・・?」

「あぁ・・・いい気分はしねぇだろ。
つーか、そもそも何で 
春菜の番号知ってたんだ?」

「・・・・・・・」

「・・まぁ、いいや。
とりあえず
俺も サキに付きっ切りってわけにはいかねぇから
何かあったら
亮に電話してもらえるか?
俺が説明しとくからさ・・」