「握手の時いたよね」 えっ… 私はその声に顔を上げた。 逞くんより先に言葉を発したのは、 てっちゃんだった。 てっちゃんが、私を覚えてくれてた…? う、嘘…。 だって、あんなに沢山の人と握手したんだよ? 覚えてるはずなんて… てっちゃんは帽子のつばを少し持ち上げた。 キレイな澄んだ瞳があらわれる。 目が合うとてっちゃんはニコっと笑った。 わわわっ、ダ、ダメっ! そんな眩しい笑顔で、ニコっなんて、反則だよ! 私は咄嗟にまた俯く。