振り向くと、今度は百合香ちゃんがいた。


と、そのまま何を言うわけでもなく、無表情でジーっと私の顔を見る百合香ちゃん。

「百合香ちゃん…?どうしたの?」

な、なに?
顔に何かついてる?


「ゆでダコ」

「へ…?」

ゆで、ダコ…?


「ゆうにゃん、顔が真っ赤でゆでダコみたいよ」



えぇーーー!?!?



思わず顔を手で覆う。
は、恥ずかしいー…。


「ふふ、冗談よ」

「ひ、酷いよー…うぅー」

「ほらほらゆうにゃん乾杯しましょ」

おかしそうに笑いながらそう言う百合香ちゃん。

全然乾杯の気分になれないんだけど…。



それでもなんとか気を取り直しグラスを持つ。

「「乾杯」」

二人の声が綺麗に重なった。



一口飲むと、百合香ちゃんが口を開く。

「ゆうにゃん」

さっきとは明らかに違う、真剣な声。
その変化に妙に緊張してしまい、思わず姿勢を正す。

急に改まってどうしたんだろう…。

ドキドキ…。



「おめでとう」

え……。
ストレートな言葉。
心臓がトクンと揺れる。


「絶対幸せになりなさいよ。そうじゃないと許さないわ」

百合香ちゃん…。


「うん、ありがとう」

嬉しくて、泣きそうになった。
凄く、百合香ちゃんの想いが伝わってきたから。
心から言ってくれたのがわかるから。


ほんとにほんとに、ありがとう。