君ニ恋シテル

と、その時。
強い風が吹き、てっちゃんの横に置いてあった紙袋が傾いた。

すると、その中からテディベアと指輪らしき物が顔を出す。


「?」

あれ?これ私がさっき貰ったテディとそっくり…。

それに指輪??



??


これは一体…。
どういうこと?



数秒間、ジッとテディと指輪を見つめる。


…あっ!



もしかして…

「てっちゃん、これって…もしかしてだけど……お揃い?」

ドキドキしながら、半信半疑で聞いてみる。


すると、てっちゃんは気まずそうに照れくさそうに頷いた。


やっぱり…!

コホンと咳払いをすると、てっちゃんが口を開く。

「優奈ちゃんも、お揃いで買ってたから…」 

気のせいかもしれないけど、てっちゃんの頬が赤く染まっているように見えた。その姿がどうしようもないくらいに愛おしくて…。

てっちゃんの話によると、急いで準備をしてて、間違って自分のぶんも持ってきちゃったみたい。



「うわぁ…恥ずかしい」

こんな風に恥ずかしがるてっちゃん初めて見た。

耳まで赤く染まるてっちゃんに、胸がいっぱいになる。


嬉しくて。
嬉しくて。

どうしたら、この嬉しさを伝えられるだろう。


あ、そうだ…。
あることを思いついた私は、少し緊張しながら口を開く。

「てっちゃんの指輪、ちょっと貸してくれる…?」

「?うん、いいけど」

不思議そうな表情を浮かべながらも、てっちゃんは私に指輪を差し出した。


指輪を受け取とると、ドキドキしながらてっちゃんの手を取る。

あったかい…ぬくもりが伝わってくる。


…緊張、する。
手が震えそう。

落ち着いて。


深く息をつく。



そして…

さっきてっちゃんがしてくれたように、私も指輪を嵌めてあげた。


「はい」

「ありがとう」

「「…」」

お互い恥ずかしくて、無言になってしまう。
結婚式みたいなことしちゃった…。
我ながら大胆なことをしたと思い急に恥ずかしさがわき上がる。