君ニ恋シテル

イルミネーションで輝く街を一気に駆け抜ける。

あの人が、大好きな人が…待つ場所へ。



少しすると、その人の姿が見えた。
帽子とメガネをしていたけど、すぐにわかった。


私の大好きで大好きな…


てっちゃん。



「はぁ…はぁ…。お待たせ!」

「優奈ちゃん、走ってきてくれたんだ。急に呼び出してごめんね」

「ううん…全然平気だよ!!てっちゃんもさっきイベント終わったばかりで…疲れてない?」

「全然平気」

そう言ってニコッて笑うてっちゃんに、胸がドキンと弾む。

さっきのイベントのことが頭に浮かび、頬が熱くなった。

大きなステージに立って、沢山のファンの歓声を受けていた人。
その大好きな人が今…私の目の前にいるんだ。




「優奈ちゃん」

柔らかい優しい声が、名前を呼ぶ。


トクンと胸が高鳴った。

背筋を伸ばし、真っ直ぐに私を見るてっちゃん。



「誕生日おめでとう」


…!


「やっぱり、どうしても今日お祝いしたくて…」

そうだったんだ…それで会おうって言ってくれたんだ。


「ありがとう…!」

嬉しい…嬉しすぎるよ。
まさか今日、てっちゃんからお祝いの言葉を貰えるなんて…。


「はい、これプレゼント」

驚いて、一瞬固まってしまった。

プレゼントまで用意してくれてたの?


「嬉しい…てっちゃんありがとう!」

本当に、嬉しすぎるよ。
涙が出そう…。


「開けていい?」

「うん」

てっちゃん、何をくれたんだろう?