君ニ恋シテル

イベントが終わると、あっという間にCDを買うための大行列ができた。


「めっちゃ最高だったねー!」

「ええ、ほんとに!徹平くんの『君ニ恋シテル』素敵だったわー」

興奮冷めやらない亜紀ちゃんと百合香ちゃん。


その横で私はまだぼんやりしてる。

夢を見ているみたいで、信じられなくて。
やっぱり昨日から夢の中にいるんじゃ…?
本当に現実?
急に不安になってきた。
夢だとしたら随分長い夢だ。

それに、すっごくリアル。


「あーいつになったらCD買えるんだろー。もうかなり待ったよ」

「仕方ないじゃない。人気な証拠よ」

「そうだけどさぁ、さすがに寒くなってきた…」

そう。寒さまでも、リアル。
こんな夢ってある…?
ないよね。


「優奈~、今日ほんと口数少ないけど大丈夫?実は体調悪いとか?」

「あら、もしそうだったらちゃんと言わなきゃダメよゆうにゃん」

「…亜紀ちゃん、百合香ちゃん、ありがとう。全然そういうのじゃないから大丈夫だよ!」

「そう?だったらいいけど。もしかして徹平の歌聴いて上せちゃった~?」

「ふふ。そうかもしれないわね」

「そっ、そんなこと…」

あるけど…。


本当に本当に素敵だった…。
言葉じゃ言い表せないくらい。

今だってふわふわしてるもん…。
地に足がついてないみたい。
おかしい…。