「…そうだっ!明日はいよいよイベントだね!」

照れを隠すように会話を続ける。


待ちに待ったクリスマスイブ。
やっとてっちゃんの作った曲が聞ける。


「初披露だから緊張するよ」

「楽しみだなぁ。てっちゃん、どんな曲作ったんだろう」

「この曲は…」


………。


えっ、何々?なんで無言になるの…?


「どうしたの…?」

耐え切れず、こちらからまた口を開く。



「明日は、優奈ちゃんのために歌うから…楽しみにしてて。じゃあ」

そう言うと、電話はすぐ切れてしまった。



………。



今、なんて…?
呆然としたままゆっくり携帯を耳から離す。



私のため…って言った?

…っ。

一気に体中が熱くなる。



いつか夢の中で、こんなセリフを言ってくれたのを覚えてる。


『優奈ちゃん、君だけのために歌うよ』


そう…夢の中で、言ってくれた。
その夢が、現実になった。



そのまま私はベットにごろんと横になった。
おでこを触ってみる。

熱い。


念のため、ほっぺたをつねってみた。

「痛っ…」

夢じゃない…。


「現実…」


その後のことは、あまり記憶になくて。
いつ眠ったのかも覚えてない。
次気付いた時には、朝になっていた。