君ニ恋シテル

そんな雰囲気のまま、レストランに到着した。


「わぁー…!」

思わず声を上げる。


惚れ惚れするようなオシャレな空間。
煌びやかで、高級感溢れる…一面ガラス張りになっていて、その向こうには夜景が広がっていた。

こんなレストラン来たことないよ。
目に写るもの全てが珍しくて、キョロキョロしてしまう。


大人って感じ…私みたいな子供が来ていい場所じゃない気がして…。
場違いなんではと不安になる。

こういうところ、てっちゃんはよく来るのかな?
でも、心なしかてっちゃんも少し緊張しているように見えた。



席につくと、窓の外の景色に心を奪われる。

「すごーい…!」

「見入っちゃうよね」

「うん!夜景が見えるレストランなんて初めて来たよ」

「気に入ってもらえた?」

「もちろん…!」

綺麗すぎて、うっとり。
なんて贅沢なんだろう。



しばらくすると、注文した料理が運ばれてきた。

「わあ!このお肉美味しいー!こっちのスープも!」

そんな私の様子を見て、クスクス笑うてっちゃん。

っ…恥ずかしいー。
てっちゃんに笑われた…。


「ほんと美味しいね。どんどん食べて」

「う、うん」

恥ずかしくて、照れ笑い。
まるで小さな子供状態だ。

だって凄く美味しすぎるから。
ほっぺたが落ちそうなくらいだよ。


…と、食べながら、ふとあることを思い出す。
そうだ…告白、どうしよう。

そのことを考えだしたとたん、急に食べ物が喉を通らなくなる。

今…?ううん、今は食事中だし…帰りの車?それとも別れ際の時…?


「優奈ちゃん…?」

あ…考えるのに気をとられて、食べる手が止まってた。


「夜景に見とれちゃって」

なんて、咄嗟の言い訳。



結局、どのタイミングで告白したらいいのか考えはまとまらず、レストランを後にした。





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