「おー、徹平おかえりっ!……ん!?何々、その手に持ってるの何ー!?」

部屋に入ったとたん、今度は逞からの質問責めが始まった。


「これってもしかしてー、もしかしなくても…優奈ちゃんからの誕生日プレゼントだったり!?」

「…そう」

「マジ!?なんだよ、散歩とか言って優奈ちゃんに会いに行ってたのかよ!」

「違うよ。ほんとに散歩に出て、そこで百合香ちゃんにばったり会って…それで…」

「それで?」

「ちょっと待って」

「なんだよ」

「…俺が散歩行ってる間、浩ちゃん何か言ってた?」

「は?浩ちゃん?別に何も。っていうか、部屋にも来てないし」

「…そっか」

さっきの浩ちゃんの態度が気になって、なんだか腑に落ちない。


「そんなことより早く続き聞かせろって!」

「…絶対話さなきゃダメなの?」

「当たり前。気になるじゃん!…ってか、何それ?ネックレス?…もしやこれも優奈ちゃんから!?」

「…逞、もう寝よう。明日も早いし」

「ヤダね!話全部聞くまで寝ないし寝かせない!」

心の中で大きな溜め息をつく。
俺は仕方なく逞の質問に答えるはめになった。
いつものことだけど…とにかく逞はしつこい。

だけど、話しながらもとても嬉しくて楽しい自分がいた。それはきっと、優奈ちゃんのことだから…なのかな。


「でもほんとプレゼント貰えてよかったな!徹平めっちゃ落ち込んでたから心配してたし!」

「落ち込んでないから…」

「嘘だぁー!」

「…もう寝る」 

「なんだよー!まだまだ話したりないのに」

「おやすみー」

「つまんねー!」

逞を無視して、俺はベッドに入った。
そして、逞も何かぶつぶつ言いながら、仕方なくといった感じにベッドに入った。


やっと静かになったと思っていたら、

「徹平、寝た?」

「…」

「つまんねー」

うるさい…。


だけど、少しすると案外あっさりと、逞のほうが先に眠ってしまった。


静まり返った部屋。
目をつむると、綺麗な星空と優奈ちゃんの笑顔が浮かんだ。

今日は本当に良い日だったな。


浩ちゃんの態度は気になったけど…とりあえず気にしないでおこう。

多分…あれもきっと、浩ちゃんの優しさだと思うから。




.