君ニ恋シテル

ホテルへ着くと、私達はまた最初いた場所へと戻った。

ベンチに座り、さっき買ってきたケーキとジュースを袋から出す。


噴水の音の他は何も聞こえない。
静かな夜。


私達は小さく乾杯をした。
そして、2人仲良くケーキを食べた。

2人きりの誕生会。
2人だけの…秘密。


「美味しいね」

「うん」

ケーキをパクリと口に入れながら、私は笑顔で頷いた。

本当に、美味しい。
今まで食べたケーキの中で、きっと一番美味しいよ。

苺の甘酸っぱさと、生クリームの甘さが口に広がる。

幸せだなあ…。


「そういえば、優奈ちゃんの誕生日はいつなの?」

「えっ?私の?」

「うん」

「12月24日だよ」

「クリスマスイブだ」

「そうなの」

「なんかいいね。クリスマスが誕生日って、ロマンチックな感じで」

「あはは」

クリスマスの頃、私とてっちゃんの関係はどうなっているのかな?
もっと仲良くなれてるかな…?
そうだといいなあ…。

まだ先だなあなんて思ってても、きっと日々はあっという間に過ぎて行くから…。

今の幸せを大事に大事に、大切に積み上げていけたらいいな…。


そんなことを思いながら、てっちゃんのほうを見ると、視線が重なった。

優しく微笑むてっちゃんに、トクンと胸が高鳴る。

恥ずかしくて、照れ笑いの私。


どうかこの幸せが、ずっと続きますように…。


それから私達は食べ終わるまでの間、たわいもない話をして、2人だけの秘密の誕生会は過ぎていった。




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