君ニ恋シテル

「優奈ちゃん、ほんとにありがとうね。最高の誕生日になったよ」

「ううん!こちらこそ、プレゼントこんなに喜んでもらえて…ありがとう」

私ははにかむように笑った。
穏やかな夜風が私達2人を包む。
なんか、とっても幸せだな…。


見上げれば綺麗な星空。
このままずっと2人で見ていたい。


でも…プレゼントも渡したし、これで用は済んだわけで…そろそろ戻らなきゃだよね?
当たり前だけど、ずっとこうしてるわけにはいかない。


すると、急にてっちゃんがベンチから立ち上がった。


と、クルッとこちらを振り向き、こう言った。

「優奈ちゃん、まだ時間大丈夫?」

「へっ……」

ビックリして、思わずマヌケな声が出る。

わあ!変な声出ちゃったよ!
最悪……。
って、落ち込んでる場合じゃない。
早く返事しないと!


「もちろん!大丈夫だよ…!」

「よかった。ちょっと付き合ってもらってもいい?」

私は反射的にこくんと頷いた。

ダメなわけがない…!


一体なんだろう?
ドキドキドキドキ…胸の鼓動が煩く響く。

もうサヨナラの時間って思っていたのに…。
嬉しすぎる。


「じゃあ、行こっか」

「?行くってどこに…っ、わあっ!」

言葉を言い終わるより先に、てっちゃんは私の手を引き歩き出した。

えっ!?何!?
どういうこと?
一体どこへ行くの?
というか、今はそんなことよりも、手っ!
繋いじゃってるんですけど…。

嬉しいけど、恥ずかしい…。
無意識に夏祭りの日やお化け屋敷でのことを思い出す。
あの時も、こんな感じだった。


鮮やかな花々の道を一瞬で通り過ぎて行く。
噴水の音がどんどん遠くなる。


私達はついにホテルの敷地内を抜け、外へと出た。


ーーー
ーー

…外出ちゃったよ。

相変わらず、手は繋いだまま。
あったかい手の温もりが、胸をキュンとさせる。


遅い時間のせいか、人通りも車も少ない。
なんだか、とっても穏やか。

…でも、もしも誰かに見られちゃったら?

急に不安な気持ちになり、心が落ち着かない。


と、そんな私の心を読んだかのように、てっちゃんはポケットから帽子を取り出しかぶった。

「…万が一と思って、帽子持ってきてたこと思い出した」

そう言って、ニコッと笑うてっちゃん。

釣られて私もニコッと笑う。