君ニ恋シテル

「…ん?」

曲がり角を曲がり、ロビーに出た時だった。


あれは…徹平と、百合香ちゃん?
なんで2人が一緒にいるんだ?

2人にバレないように隠れながら、そっと様子を窺う。

何か話してるみたいだが…こっからじゃよく聞こえない。

ただわかるのは、百合香ちゃんの顔が真っ赤だということくらい。


そして、しばらくすると2人はホテルの外へと出て行ってしまった。

なんなんだ…?


もしかして…あの2人そういう仲だったってことか!?

おいおい、マジかよ!


でも、だとしたら…いつから付き合ってたんだ?
しかもファンの子と…。
全く気づかなかった。


うわっ…これはかなり驚いたぞ。
驚き過ぎて鼓動が早い。

2人のあとをつけたい衝動にかられたが、それはさすがに…。

いやでも本来ならすぐさま声をかけて2人を引き離すべきだよな…。

普通のマネージャーだったらそうするだろう。

でもな…百合香ちゃんだし。
この時間なら他のファンの子ももう出歩いてないだろう。

とりあえず、見逃すか…。


そう決断すると、くるっと回れ右をし、俺は歩き出した。



………。



もしほんとに付き合ってるのだとしたら、いつから…?

ん?でも待てよ…だったら、昨日徹平に会えないことくらいわかるよな?

わかってて会いに?
いや、百合香ちゃんはどうしても徹平に会いたかったのか…そうだ、きっとそうに違いない。

いや待て、まだ付き合ってると決まったわけでは…。

あーーっ!気になるっ!


一日の中で一番と言ってもいいほど頭をフル回転させながら、俺は部屋への道のりを歩いた。