君ニ恋シテル

てっちゃんの手が、私の肩を優しく抱き寄せた。

体がピタッと密着する。


瞬時にお化け屋敷でのことを思いだし、顔が熱くなる。

わぁー…ダメダメ!
意識しちゃダメ!

引きつった笑顔のまま、カメラのシャッター音が鳴った。


と…てっちゃんの体が離れ、ホッと息をつく。

ドキドキし過ぎて…ヤバイよ。


「上手く撮れてるかな?」

そう言っててっちゃんはニコッと笑うと、写真を受け取るために前に進み出た。


てっちゃんって…全部が優しいんだよね。

笑顔も、抱き寄せる手も腕も…体温も。


ぽーっとしてると…

「よかったね」

笑顔でそう言いながら、逞くんは私の顔を覗きこんだ。

…っ。
恥ずかしい…。



先にサインを書き終わった逞くん。
てっちゃんがサインを書く姿と、それを待つ私の姿を交互に見ながら、ニヤニヤした笑みを浮かべる。


逞くん、ニヤニヤしすぎ!

てっちゃんがサインを書き終わると、私は急いでお礼を言って写真を受け取り、亜紀ちゃんと百合香ちゃんの元へと走った。



「ゆうにゃん、あなたも肩を組んでもらったのね」

2人の元へ戻ると、百合香ちゃんがすかさずそう言った。


「あっ、うん…なんか流れで」

逞くんのせいで…。
というか、百合香ちゃんの顔を真っ直ぐ見れないよ…。


「写真見せてっ!」

笑顔で言う亜紀ちゃん。


そうだ…私もまだちゃんと見てなかった。
写真を差し出すと、百合香ちゃんも一緒に覗きこんだ。


え…なにこれ!


「優奈、徹平との2ショット超ひきつってんじゃん!」

「ほんと、ぎこちない笑みだわ」

「まあでも優奈らしいかー」

「そうね、ゆうにゃんらしいわ」


うぅ…最悪。
せっかくの記念が…。
っていうか、私らしいってどういう意味…?

亜紀ちゃんと百合香ちゃんの会話を聞きつつ、写真をまじまじと見つめ落胆する。

この写真…てっちゃんも見たんだよね。
恥ずかしすぎる…。


「これ私のー!どう?」

そう言いながら、亜紀ちゃんは自分の写真を差し出してきた。


「いいね!とっても素敵」

いつもの亜紀ちゃんらしい元気な笑顔。
こんなに綺麗に撮れてて羨ましい…。


「渡辺さん、山本くんとの2ショット写真、瀬川くんに見せるのかしら?」

「へ?うん、もちろん見せるよ!」

百合香ちゃんの質問に、亜紀ちゃんはきょとんとしながら答える。