君ニ恋シテル

百合香ちゃんが…てっちゃんを好き?

急に沸き上がった疑問に思わず戸惑ってしまう。


てっちゃんの誕生日プレゼントを買いに行ったあの日、私は百合香ちゃんにてっちゃんへの恋心を認めた。

あの時、百合香ちゃんはキッパリと、てっちゃんへの好きの想いはファンとしての好きだと言った。

あの時の百合香ちゃんの目は強くて、嘘のない目で。

だから…疑いもせずに信じてた。

百合香ちゃんももしかしたらてっちゃんを好きなんじゃないか?と、なんとなく心にあった疑問は、あの日解決していた。



……………。



だけどやっぱり…今の百合香ちゃんを見てたら、そうとは思えないよ。

今まで感じていた違和感は、百合香ちゃんもてっちゃんを好きだから…。

でも百合香ちゃんはそのことを言い出せなくて…。

そうだ…きっとそうだよ。

それなら色んなことが納得いく。


…と、そう思いかけていた時、また頭に疑問が浮かんだ。

待って…だったらなんで告白大作戦なんて…。

もしもてっちゃんを好きなら、こんな作戦しようなんて思わないよね…。

…やっぱり私の勘違い?


考えているうちに百合香ちゃんの撮影は終わっていた。

サインを書いてもらった写真を受けとり、そそくさと亜紀ちゃんの元へと走る百合香ちゃん。

「よかったね!」と、亜紀ちゃんの声が耳に入る。



「次の人ー!」

あっ…

スタッフの声に、私は慌てて足を踏み出す。


てっちゃんと逞くんがニコッと笑った。

少し緊張しながら、2人の間に立つ。


わっ…近い。

てっちゃんの肩が触れるその距離に、胸がドキドキした。

3人での撮影が終わり、次は逞くんと…ピースサインで写真を撮る。


そして、次はてっちゃんと…と、思っていると…

「優奈ちゃん、徹平に抱きついちゃえば?」

私にしか聞こえないくらいの小さな声で逞くんはそう言うと、クスッと笑った。


っ…!
急に何言って…!

何か言い返そうとするも、言葉が出てこない。

そうだ…逞くん、私の気持ち気づいてるって前に沙弓ちゃん言ってたよね。

急に恥ずかしくなり、鼓動が早くなる。


「肩組んでほしいって」

えっ!ちょっと…!

逞くんは勝手にてっちゃんにそう言うと、私を見てニッと笑う。


もうっ…!
なんで勝手に…私は普通に撮れればそれで…


てっちゃんを見ると、いつものように優しく微笑んだ。


「…っ」

ドキドキと心拍数が上がる。


そして…