君ニ恋シテル

ステージに立つと、みんなの視線を痛いほど感じた。

やっ、やっぱり緊張するよー…!

和らいだはずの緊張が一気にぶり返す。


もう一人の当たった子は全く緊張していないのか、興奮気味に逞くんを見つめている。

凄いな…こんなに注目されてるのに全然動じてない。



「はい、でわ逞から!あなただけのためにプロポーズの言葉を言います!名前はどう呼んでほしいですか?」

「マサ子って呼び捨てでお願いしまっす!」

らんらんと目を輝かせてその子は言った。


「逞、準備はOK?でわ、どうぞ!」

浩ちゃんがそう言うと、会場がざわつく。

みんなワクワクした目でステージを見つめている。


私もドキドキしながら見つめていると…

「マサ子、俺と一生一緒にいてください!」

逞くんのプロポーズの言葉に、大歓声と拍手がわいた。

マサ子という子は感動のあまりか大泣きしている。


わぁー…。
まるでほんとのプロポーズの場面を見ているかのよう。

私も自然と拍手をする。


「はーい、素敵なプロポーズでしたね!でわ次は徹平!いってみよー!名前はどう呼んでほしいですか?」

浩ちゃんの声に、胸がドキンと跳ねる。


「あ…じゃあ優奈ちゃんで」

いつものてっちゃんの呼び方で…。


「OK!でわ徹平どうぞ!」

いよいよだ…!


目の前にてっちゃんが立ち、私をジッと見つめる。

わっ…どうしよう。

いつもとは違うてっちゃんの真剣な眼差しに、体の温度が一気に上昇する。


「優奈ちゃん…俺と、結婚してください」

…っ!!

きゃあー!と、ファンの子たちの声が響く。

てっちゃんの顔がさっきまでの真剣な表情から、柔らかな笑顔へと変わった。


私…もうダメかも。

宙に浮いたような気分。

ふわふわする。


どうしたらいいのかわからないよ。


顔が熱い…。

ほんとに言われたわけじゃないのに、凄くドキドキして、胸がキュンとなった。


あの言葉がほんとだったらな…。

夢見ちゃうよ…。


「2人とも熱いプロポーズをありがとう!もう一度大きな拍手をお願いします!」

浩ちゃんがそう言うと、盛大な拍手が会場中を埋め尽くした。