君ニ恋シテル

しばらく歩くと最後のメインイベント、観覧車に到着した。

お化け屋敷の時と同じようにクジを引き、てっちゃん、逞くん、浩ちゃんとペアになれる子を決める。

それ以外の子達は自由で、誰と乗ってもいいことになっていた。


「はいじゃあ順番に乗ってくださーい!」

クジを引き終わると、浩ちゃんの指示でみんな観覧車に乗り出した。



「あーぁ、また逞とペアになれなかったぁ」

亜紀ちゃんが残念そうに言う。


「仕方ないわよ。こうやって3人で乗る観覧車も悪くないわ。ねぇ、ゆうにゃん」

「うん、そうだね」

百合香ちゃんの言う通り、悪くない。


外の景色はオレンジ一色。
夕暮れ時。

キレイだな…。


「わーい、てっぺんだぁ!」

観覧車が一番上まで来ると、楽しそうにはしゃぐ亜紀ちゃん。


「渡辺さん、はしゃぎすぎよ」

「えー!だって見てよ!凄いキレイな景色だよ」

ほんとキレイ…。
遊園地全てがオレンジ色。
感動で思わず目が潤んだ。

一番高い場所から見る景色、てっちゃんとも見たかったな…。

ペアになれなかったのが…やっぱり少し残念。
ちょっぴり切ない気分で、夕焼けを見つめていた。

…そしてあっという間に、観覧車での時間は終わり。


「あー、ほんとキレイな景色だったねー!」

亜紀ちゃんの言葉に、私と百合香ちゃんも笑顔で頷く。

ほんともう一回乗りたいくらいだよ!



…と、少しするとてっちゃんとペアの子が観覧車から降りてきた。

あ…。
思わず視線がそちらに向く。
実を言うと、ずーっと2人の様子が気になって仕方なかった。
2人きりで何を話しているんだろう…とか、色んな想いが頭の中をぐるぐる。


ペアだった子が友達の元へと駆け寄る。
見るとその子の友達は、お化け屋敷でてっちゃんとペアだった子だった。


「ねっ!どうだった、どうだった?アド聞けた?」

お化け屋敷でペアだった子が興奮気味に、でも声をおさえてその子に聞く。


え…アドって…てっちゃんに聞いたってこと!?
驚いて亜紀ちゃんと百合香ちゃんと顔を見合せる。

ついつい聞き耳…というか、会話が自然と耳に入ってきた。

私達は無言で次の言葉を待つ。