君ニ恋シテル

「…大丈夫?」

「う、うん。ごめんね。急に泣いちゃって…」

落ち着いたら恥ずかしくなってきた…。


2人並んでお化け屋敷を歩く。
てっちゃんといるだけで怖さは半減した。


「俺のペアの子も驚いた拍子に急に走って行っちゃって、はぐれちゃったんだ」

あ…それってもしかしてさっきの人かも?


「そうだったんだ…さっき凄い勢いで目の前を通り過ぎて行った子がいたんだけど、多分その子じゃないかな」

「ほんと?前のグループと合流できてればいいんだけど…」


でも、その子とはぐれちゃったおかげで、今こうやって2人で歩けてるんだよね…。

まさかこんな形で一緒に歩けることになるなんて…。

その子には悪いけど『ありがとう』って思いでいっぱいだった。


「でもほんとここのお化け屋敷は本格的だね」

「うん、かなり怖い…。私、お化け屋敷苦手だから余計に…。てっちゃんはお化け屋敷は平気なの?」

「いや…俺も得意ではないよ。だから、優奈ちゃんおいて逃げちゃったらごめんね」

てっちゃんが冗談っぽく言う。


「えー!それは困るよ…」

「あはは、ウソウソ。絶対おいて行かないよ」

「…うん」

…キュンってなった。
頬が、熱い…絶対真っ赤になってる。

てっちゃんに守ってもらいたいな…なんて思っちゃった。

恥ずかし…。

なんだか凄くてっちゃんが男らしくてカッコイイんだもん。いっぱい頼りたくなる。お化け屋敷にいる間だけは…頼っちゃってもいいよね?


…なんか今日は自然に会話できてて嬉しいな。

早くもっと仲良くなりたい。
友達以上に…なりたい。

気持ちを伝える勇気なんてないくせに、そんなことを思ってしまう。

大好き過ぎて…好きなんて言えないよ。