『はぁー、やっぱ夏はアイスだねー!うまっ!』

パクパク美味しそうにアイスを食べる逞。


『お前ってやつはほんと得な性格してるよな。こんな状況でも能天気に笑っていられるんだから』

浩ちゃんはアイスを食べながら、呆れ顔で言う。


『なんだよそれ。俺だってこう見えてちゃんと反省してるし』

逞は浩ちゃんの言葉に少しムッとしながら、空っぽになったアイスのカップを見つめた。


『あはは!怒るなよ。まぁ…あれだ、上手くやれよ』

『…上手くやれって?』

逞はカップから目をそらし、浩ちゃんを見つめる。


『沙弓ちゃんとだよ。社長はああ言ってるけど、俺は…別れろとは言わない。逞の人生だ、好きにすればいい』

浩ちゃんの声は真剣で…愛情に溢れた、あたたかいものだった。


『だから俺、付き合ってないってさっきも…』

『ただ!…バレないように上手くやれ!それだけだ』

逞の言葉を遮り、浩ちゃんは声を強めた。
そして、いつものようにニッと笑う。


『っ……。』

言い返そうとするも、言葉が出てこない逞。

全て見透かす浩ちゃんの目に、諦めの表情を浮かべていた。


そして、数秒間の沈黙の後…

『…ありがとう』

逞は俯きながら、小さな声で呟いた。

その言葉は、逞の精一杯の想いが詰まった、ありがとうだった。



ーーー…
ーー…


浩ちゃんはやっぱり優しいよな…。
どんなときも、俺達の味方をしてくれる。


…逞と沙弓ちゃんが元に戻ってほんとによかった。

二人が別れることは、俺にとっても辛いから。

昔からの二人を俺は知ってる。
そう簡単に壊れる二人じゃない。


そうだ…優奈ちゃんにメールしよう。

無事、元通りになったって早く知らせて安心させてあげなきゃ。

凄く心配してたからな。


俺は急いで優奈ちゃんへメールを送った。