君ニ恋シテル

そして…二人は同じ時期にメジャーデビューを果たし、今がある。


「…いつも辛い時、逞が励ましてくれて、頑張ってこれたの」

沙弓ちゃんは少し寂しげな笑みを浮かべた。


「沙弓ちゃん…これからだって、逞くんと一緒だよ」

話を聞いて、お互い支え合ってきたのがよくわかった。


逞くんが辛い時、支えになってたのは絶対沙弓ちゃんだ。

こんなに愛し合ってる二人が別れるなんて、ダメだよ…。


「優奈ちゃん…ありがとう」

「逞くんと連絡取って、ちゃんと話してね?逞くんが別れるなんて絶対言うわけないから!私が保証する!」

「…うん」

よかった…。
やっといつもの沙弓ちゃんらしい笑顔になった。


「聞いてくれてありがとう。優奈ちゃんと友達になれて、ほんとによかった」

「そんな…私は全然」

改めてお礼を言われ、なんだか恥ずかしくなった。


「ほんとだよ。あの日優奈ちゃん達とここで出会えて、凄く嬉しかったの。優奈ちゃん達と出会ったのも…運命だったんじゃないかなって、あの日の帰り道、逞と徹平くんと話してたんだよ」

「…そうなの?」

沙弓ちゃんは笑顔で頷いた。


運命って…ほんとにてっちゃんもそんなふうに思ってくれたの?

あ、でもそれって、恋愛的な感情ではないよね…。

もしそうだったら凄く嬉しいけど…そんなわけないよね。

どうしよう、ドキドキしてきた…。


「縁があるから、出会ったんだよ」

ニコッと笑う沙弓ちゃん。


「縁…」

そっか…縁があったから出会った。
そうじゃなければ、きっと出会ってない。
前に亜紀ちゃんもそんなこと言ってたよね。


そして、沙弓ちゃんはニコニコしながらこう言った。 


「優奈ちゃん、徹平くんのことほんとに大好きなんだね」

「えっ!何を急に…」

「好きでしょ?」

「も、もちろん、好きだよ。ファンだもん…」

急な質問に、一気に鼓動が早くなる。
緊張のせいか声が上ずってしまった。
沙弓ちゃんはそんな私を見てクスクスと笑う。


「ファンとしてじゃなく…本気で」

本気で。
その言葉にかなり反応した私は、顔の温度が一気に上昇する。


「なっ、何言ってるの沙弓ちゃん。私はそんなんじゃ…ファンってだけで…」

もう…なんでいきなりてっちゃんの話に。