と、

「優奈ちゃん」

満面の笑みのてっちゃんと、視線が重なった。


「…っ」

呼吸が止まりそう…。
笑顔が、眩しくて眩しくて。


「はい、とれたよ」

「ありがとう…」

ピンクの水風船を、てっちゃんの手から受け取る。


「一回でとれちゃうなんて凄いね…!」

「運が良かっただけだよ」

水風船の輪ゴムの輪っかに指を嵌め、ぽんぽんとヨーヨーにして遊んでみる。

まるで子供の頃に戻ったみたい。
嬉しくて、頬が緩んだ。 


「てっちゃん、ほんとにありがとう…」

「どういたしまして」

視線を合わせ、ふふっと笑いあう。


凄く嬉しいけど、凄く照れちゃう。
両方の気持ちで、胸がいっぱいになった。



「じゃあ、行こっか」

「うん…」

もう、二人きりの時間も終わりか…。
そう思うとちょっぴり寂しい。
もっと二人でいたかったな…。

なんて…。
そんなことを思いながら、ゆっくりと歩き出した。


…と、歩き出したのはいいものの、人で
溢れ返った公園、みんなを見つけるのには苦労しそうだ。

人並みを掻き分けながら、前へと進む。


「みんないないね」

「うん…」

「あっちのほう行ってみようか?」

そう言って、向こう側を指差すてっちゃん。


私の少し前を歩くてっちゃんの後ろ姿。
その背中をじっと見つめる。
後ろ姿を見ているだけなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。

もうずっとドキドキしてる。
ずーっとドキドキしっぱなし。


こんなになっちゃうなんて、どうしたらいいのかな…?

何度もきゅーっとなる胸。
止める方法、何度も考えてるけど、思い浮かばない。



暫く歩くもやっぱりみんなの姿は見あたらなくて…。

と、何か思いついたかのように、てっちゃんが立ち止まった。


不思議に思っていると…

「電話してみる」

電話…。
そっか、そうだよね。その手があった。


「最初からこうすればよかったね。ごめんね、無駄に歩かせちゃって…」

「ううん…!全然大丈夫」

むしろまだこのままでいたかったよ…。


携帯を耳にあて、てっちゃんは電話をかけだした。

本当に、二人の時間も終わりか…。
やっぱりちょっと寂しいな…。





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