「終わっちゃった…」
「終わったね…」
放心状態の私と亜紀ちゃん。
周りの子達が会場から去る中、席に座ったままぼんやりとする。
余韻が凄い…。
動けないよ…。
手にはさっきてっちゃんから受け取ったサイン入りのピック。
見つめると、同時にてっちゃんの笑顔も浮かび、胸がキュンとなった。
はぁー…。
思わずため息がこぼれる。
もう、ほんとに…言葉にできない感動がいっぱいで…。
ふと隣を見ると、あの子が立ち上がった。
…帰るのかな。
って、私達も早く出ないと。
ぼんやりしながら見つめていると、ばちっと目が合った。
あ、じろじろ見すぎちゃったかな…。
「…ふんっ」
ふいっと私から目をそらすと、あの子は足早に会場から出ていってしまった。
行っちゃった…。
話しかければよかったかも。
せっかく再会できたんだし…。
あの子は私のこと覚えてないかもだけど…。
それにちょっと…怖いけど。



