てっちゃんと目が合った。

と、同時にてっちゃんは私の目の前へ。

え…なに…。
鼓動が早くなる。

てっちゃんは前屈みになると手を伸ばし、私にピックを差し出した。


「えっ…」

ステージ上のてっちゃんを見上げると、にこっと私の大好きなあの笑顔を見せた。

私は驚きながらもピックを受け取る。


わっ…。
微かに触れたてっちゃんの指に、体中が一気に熱くなる。

ピックにはてっちゃんのサインが書かれていた。

ドキドキしながらもう一度元の位置に戻ったてっちゃんを見ると、またにこっと笑ってくれた。


「ちょっと優奈!やったね!
いいなぁー!」

亜紀ちゃんが興奮して私に言う。


一瞬何が起きたのかまったくわからなかった。

まだドキドキしてる。


どうしよう…凄く嬉しい。

私は手のひらに収まるピックを、大切に優しく握りしめた。