「次でラストの曲になります」
てっちゃんがそう言うと、えー!、ヤダー!と、ファンの子達が騒ぎ出す。
「やだぁー!」
亜紀ちゃんも必死で叫ぶ。
「うっ…うぅ…」
隣を見ると、例のあの子がぼろぼろと涙を流して泣いていた。
その姿を見て、私も胸がギュッとなる。
いよいよラスト…。
もう終わっちゃうなんて…。
歓声が飛び交う中、最後の曲が静かに流れ始める。
てっちゃんと逞くんの切ない歌声。
しっとりとしたバラードは、胸の奥底まで染み渡っていった。
この日を一生忘れない。
何年経っても、絶対忘れないよ。
今より大人になっても、絶対忘れない。
大切な、大切な思い出だから…。



