君ニ恋シテル

「あっ!そうだ!」

隣の子のことで頭がいっぱいになっていると、急に亜紀ちゃんが声をあげた。

そしてバッグの中から何かを取り出す。


「はいっ!」

亜紀ちゃんが差し出してきたのは、サイリウムだった。


「いいでしょー。この前買っておいたんだぁ。あとブレスレットのやつもあるの!優奈のはピンクね。これで応援しよっ!」

「わぁーありがとー!やったぁ」

ピンクのサイリウムに、ピンクのブレスレット。
亜紀ちゃんのはイエロー。
どっちも凄く可愛い!
ますますコンサートムードが高まる。
あーっ!楽しみだよぉ!



「ふんっ」



へ?



今のは…隣から聞こえた声にギクリとなる。
恐る恐る視線を向けると、物凄く嫌そうな顔で私を睨むあの子。

ひいぃっ!こ、怖い…。
うぅ…なんで睨まれなきゃいけないのぉ。



そんなこんなで、隣の子の視線にびくびくしつつ…ついに開演時間は訪れた。