「ごめんね…せっかく会えたのに」

「いっ、いえ!気にしないで下さい!あの…お仕事頑張って下さい!」

申し訳なさそうに謝るてっちゃんに、私は慌てて言葉を返した。

すると、ニコッと微笑むてっちゃん。

その笑顔に胸がキュンとなるも、同時に切なさも襲う。

もっと話したかったけど、お仕事なら仕方ないよね…。


思いがけず会えて話せた…それだけでじゅうぶん嬉しいこと…そう思わなきゃ。

何より覚えてくれてたことがほんとに嬉しいことだよ。


「えぇー、超残念ー!」

私の隣でまだ落ち込んだ声を出す亜紀ちゃん。

「亜紀ちゃん…またコンサートで会えるじゃん」

私がそう言うと、

「あっ、コンサート来てくれるんだ!」

と、笑顔で話す逞くん。


「あっ、はい…!初日に…あっ、そうだ!しかも、最前列のど真ん中の席なんです…!」

「マジ!?」

私の言葉に逞くんは驚き、てっちゃんと顔を見合わせた。


「あっ!そう!そうなの!最前列なの!!」

さっきまで落ち込んでいた亜紀ちゃんが、急に思い出したかのようにパンっと手を叩き、笑顔で話し出す。