「そろそろ出よっか?」
亜紀ちゃんはそう言うと立ち上がった。
私もその言葉に頷き立ち上がる。
「コンサートは感動したけど…逞と話せなかったのがなぁ」
歩きながら亜紀ちゃんはまた落ち込んだ声を出す。
そうだよね…。
私も亜紀ちゃんと同じ気持ちだった。
立ち止まり振り返って、てっちゃんと逞くんがいた席を見つめる。
夢みたいな時間だったな…。
後ろの席に二人がいたなんて。
ついさっきのことなのに、なんだかもう幻のよう。
そして…
私は最前列に目を向けた。
Boy★2のコンサートでは、あそこに座る。
そうだ…コンサートでまた会えるんだよね。
…またすぐ会えるんだ。
そう思ったら、落ち込んだ気持ちが少し軽くなった気がした。



