君ニ恋シテル



会場が明るくなり、ファンの子達がガヤガヤと動き出す。


私は放心状態のまま、思わず席に座り込んだ。


感動…。

気付かないうちに、目にはうっすら涙が。


すると、

「あれっ!?」

と、亜紀ちゃんが急に声を上げた。

…どうしんだろう?


「亜紀ちゃん?」

後ろを振り向いたまま棒立ちしている亜紀ちゃんに話しかけ、私も後ろを振り向く。



あれっ…?



「逞がいない!なんでー!?」

ほんとだ…。
てっちゃんもいない…。

もう帰っちゃったのかな?
それにしても出るの早すぎ…。

回りを見渡してみても、二人の姿は見当たらない。


「えー!超ショック…!
逞と話したかったのにぃ!」

亜紀ちゃんはそう言いながら、席にドスンと腰かけた。


私もショック…。
せっかく会えたのに…。

こんなことって中々ないよね。
奇跡みたいなことが起きたのに…その奇跡は呆気なく終わってしまった。


ショックすぎる…。

私はガクッと肩を落とした。