君ニ恋シテル


* * *


「ったく何やってんだよ。
仲良く腕なんか組んで!」

「あれは西村さんが急に」

浩ちゃんは俺の腕をぐいぐい引っ張り、イライラした口調で話す。


「あの女には気を付けろって何度も言ってるだろ?
あれに騙される男が今まで何人いたか!」

「浩ちゃん、そんな心配しなくても俺は大丈夫だから」

「いーや、わからん。
お前にその気がなくても、あんな場面誰かに見られたら、噂になる可能性もあるからな。
そしたら大変なことになるぞ?」

それは…わかってるけど。


浩ちゃんはピタッと歩く足を止め、俺のほうを見た。

「お前は優しいからな。
だからこそ、心配なんだよ」

「浩ちゃん…」

浩ちゃんの目は真剣だった。


数秒後…

「まっ…大丈夫か」

そう言って、表情を緩める浩ちゃん。

「あはっ、そうだよ。
大丈夫」

浩ちゃんは俺のことを優しいって言ったけど…浩ちゃんのほうが何倍も優しい。


「よしっ、急ぐぞ。
次は雑誌の撮影だから…早く逞と合流しないと」

俺は浩ちゃんの言葉に頷き、足を早めた。