「きゃあ!また逞と目合っちゃったぁ」
「へっ…」
亜紀ちゃんの声に、私はてっちゃんから目を離した。
ガヤガヤした音。
スタッフの声に、ファンの子の声。
さっきまで静かだった世界は音を取り戻し、私の耳を一気に駆け巡る。
あ…私またボーッとしちゃってた。
てっちゃんの瞳がキレイで…それで、
私はもう一度てっちゃんのほうを見た。
えっ…嘘、また目合っちゃった…
てっちゃんは私の目をしっかり見てニコッと微笑むと、私から目をそらし、ファンの子と握手を始めた。
「………っ」
もう…どうなってもいい。
何も考えられない。
私を見て微笑んでくれた。
こんなに幸せなことってあるだろうか。
鼻血が出るんじゃないか…だって、顔がありえないくらい熱い。



