君ニ恋シテル

「はい、参加券出してー」


私はその声で我にかえる。
スタッフの人だ。

あっ…いけない、てっちゃんのほうに気をとられて、ボーッとしてた。


亜紀ちゃんが参加券を差し出す。

私も慌ててスタッフの人に参加券を手渡した。


チラッとてっちゃんのほうを見ると、抱きしめられたファンの子は、すでに体を離していた。

うっとりした目でてっちゃんを見つめると、すぐにテントの出口へと向かった。


私はその後ろ姿を見つめる。

ほんの一秒足らずの出来事。
なのに、凄く長く感じた。
見てるのが辛かった。

こんなにも苦しいなんて…。


「はい、どうぞ」

スタッフの人が箱を差し出した。


「あー、緊張するね」

「うん…」

亜紀ちゃんの言葉に私は上の空で答える。
さっきのてっちゃんとファンの子のハグが頭から離れない。


「ハグでありますように…ほら、優奈も早く。一緒に引こう」

「あっ…うん」

私と亜紀ちゃんは同時に箱の中に手を入れた。