君ニ恋シテル

「徹平が覚えてくれてるかもしれないんだよ!」

亜紀ちゃんが熱っぽく言う。


「そ、そんなのわかんないし」

「いや、優奈は多分覚えてもらってる確率高いよ。
だって、握手もしたし、ケーキ屋でも話したんだよ?
ファンレも直接渡せたしさぁ」

「そうだけど…。
亜紀ちゃんだっていっぱい逞くんと話してたじゃん」

「ん?…うん!まぁね。
きゃあーどうしよう!」

亜紀ちゃんは頬を両手で包み、困ったような仕草をした。


そんな亜紀ちゃんの姿を見て私は微笑む。


覚えてもらってる確率か…。

亜紀ちゃんはああ言ってくれたけど…んー、わかんないよぉ。

でもほんとに覚えてくれてたら…嬉しいよね。

心の中で、何度も期待を抱いては消えていく、儚い想い。

よほど印象に残ってない限りは…


はぁー…。

なんとなくついたため息を、柔らかな風がさらっていく。


色んな想いが渦巻くなか…列はどんどん前へと進んでいった。