君ニ恋シテル



また少し列が進んだ。

愛を育むのも、こんな風にゆっくりと、一歩一歩なのかな…?

そんなことを考えながら、私は足を踏み出す。


「あー!もうすぐだね!
ハグぅ!洋祐がなんと言おうと、やっぱハグしたいし!」

ニコッと笑う亜紀ちゃん。

「あはっ、そうだね」

私もニコッと笑った。


洋祐くんの話で、まだ少し照れているのか、ぎこちない笑顔の亜紀ちゃん。
意外と照れ屋なんだよね。


私はそんな亜紀ちゃんを微笑ましく見つめた。


亜紀ちゃんのぱっちりな目。
アイラインもつけ睫もばっちり。

ピンクの艶のあるぷるぷるな唇。

少し汗がにじんだ額。
だけどメイクはまったく崩れてなくて、完璧。


逞くんと同じ明るい茶髪が風に揺れた。
ふわっといい香りがする。


なんだろう。
亜紀ちゃんって、色気があるんだよね。

ふとした仕草や表情が、凄く大人に感じる。

さっきみたいな照れ笑いは少女のように可愛くて、黙っているとクールで大人びて見える。

たまにドキッとするくらい、キレイに見えるんだ。

私にはない雰囲気を、亜紀ちゃんは沢山持ってる。