海都には流されたけど、貝殻をハンカチに包み、スカートのポケットにしまった。

初デートの記念にする。

昔から来てたここを、大切な場所にする。

ローファーの横に置いていた小さな花束を持ち、波打ち際まで行く。

波に委ねた花束は、ゆっくりゆっくりと沖へと向かう。

…赤ちゃん…。

唇を噛み締めながら見つめてると、隣に来てくれた海都が、私の手を握ってくれた。



「また、俺たちのとこに、来てくれな…」



海都の言葉に、もう泣かないと決めたにも関わらず、波が溢れた。

私も、同じ気持ち。

―――私はまた、貴方のママになりない。