手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】

2人で店内に入ると、女性の店員さんが、頬を赤らめながら、「いらっしゃいませ!」と、駆けて来た。



「後で2人、来ます」



「こちらへどうぞ」



店員さんだけでなく、周りのお客さんからも目を引く空さんは、やっぱりカッコいいんだ。

私はふざけて、「パパをみんな見てるー」と、言ってみた。



「はいはい」



けど、慣れてるのか、表情も変えずに居る空さんは、案内された角のテーブルの席に座る。

2人でソファーに体を預け、メニューを見て、「アイスココア」と伝える。



「夏にか」



「え…アイスは夏でしょ?」



何故、突っ込まれたかがわからない。

首を傾げる私に、「まぁ良い」と言って、自分のコーヒーと、私のココアを注文した。