何て声に出す事もアホらしく、吏良に回転椅子に座るように告げた。



「おぉ」



吏良は「久々に見た」と、今じゃ物置と化した勉強用デスクに飾られた俺と萌のツーショット写真が多数、貼られたコルクボードに見つめる。



「この前も見ただろ」



そう返すと、吏良は「本物を」なんて言い出した。

こいつは何が言いたいのかわからない。

けど、返事を返さなかった俺に、吏良は神妙な顔で、俺を見た。



「萌ちゃんが、仁志とデートしてた。最初はお前の事で暗い雰囲気だったけど、今は楽しそうに、仁志ん家に行った」



「……」



俺の腕の中に、“メグが戻って来ない”と、言われた気がした。