手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】

夏なのに。

淹れ経てなのに、熱々のを。

私はココアに浮かぶバニラアイスをスプーンで掬った。



「海都も、昔はココア飲んでたなぁ…」



「今は酒ばっか」



…本当に。

海都は変わってしまった。

大人になったというより、誰かにSOSを出してるのかも知れない。

彼女の私ではない誰かに。

でも、何となく空さんが不良だった時の話と重なる。

自由になりたくて。

スリルを味わいたくて。

大人になったフリをしたくて。

意気がって。

海都は、空さんと同じ道を歩んでるのに、理由があるの?

本当は、空さんが好きなんでしょ…?