「王子さま…」 シャラン──と音がした気がした。 「え…?」 視界に捕えた、一筋の光。 上を見上げると、さっきのを合図にしたように次々と流れ出す。 「……」 視界が流れる光で一杯になった。 声も出せずに、瞬きする間も惜しいほど。 「きれー…」 ポロッと零れた声で気が付いて。 「ねぇ、王子さま、すっごく綺麗…」 振り向いた先に、黒は居なかった。 …行っちゃったのか。 もう一度空を見上げて、手を伸ばした。