「人を…探している」 「ひと?」 …こんな屋根の上で? やっぱり不思議。 そんなことより、ふっと微かに柔らかくなった王子さまの目元に。 その人の存在が気になった。 「大切な、ひと?」 「大切というか、…弟を」 「おとーとさん…」 その弟さんは屋根を渡り歩く趣味でもあるんでしょうか。 王子さまの探している人が、女の人じゃないことに若干つまらなさを感じつつ。 弟さんを想像すると、すぐに意識はそっちに持っていかれた。 …かっこいいんだろうな。 そんな思考は王子さまの声で遮られた。