「紫竹さんは仕事帰り?」 「これ。 この和食定食」 彼はアタシの質問に答えることなくメニューを指差して言う。 ちょっと! せっかく話しかけてあげてるのに無視ですか? 質問に適した回答をしろっ。 「寂しいですねぇ、 いい年してひとりでファミレスで晩御飯って!」 嫌味っぽく言ってやる。 「悪いか」 やっと彼は顔をあげてアタシに言う。 「別にー。 今日は水でも思い切りサービスしましょうか?」 「いらない」 …なんかちょっと楽しい。 どうして楽しいんだろう。