その男はいつも黙っていて

寒気を催すオーラを放っていた

年齢は知らないが

40代ぐらいだろうか

身体つきは格闘家のように

筋肉質で洗練されていて

走り込んでいた兄に似た

圧し殺した激情を隠すように

いつも無表情で僕を抱いた

僕を易々と拘束できる腕力が

僕の身体を思い通りに操った

その男に抱かれると

半日は使い物にならないほど

長い時間をかけて責め抜かれた

だからその男が帰って行くのを

僕はいつも知らない

気を失うように意識が無くなるから

僕の飼い主の男は

その中年の男に気を遣っていた

他の客とは明らかに違う扱いだった




その男はいつも決まった時間に

ホテルにやってくる

その男だけはスイートルームを使う

上等なアルマーニのスーツを

無造作に脱ぎ捨て

ベッドであのクスリのせいですでに

喘いで荒い息をついている裸の僕を

余計な無駄口の一言も言わず

無言のまま犯し始める

足で足を開かれされるがまま

あまりの激しさに辛くて叫ぶ口を

固い手のひらで塞がれて

僕は放出を繰り返し涙を流す

その涙が口を塞ぐ彼の指を濡らす

鷹のような一重の切れ長の目を

一瞬無防備に閉じる時に

男が僕の中にいったのがわかった




僕の飼い主が

ある夜クスリをくれなかった

飼い主は複雑な顔で

ホテルで僕に服を着せた

アルマーニの男が来て

僕は車で連れ出された