失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】





彼は僕の顔をじっと見た

「君の体験…今の私にはとっても必

要だ…もっと詳しく話してくれない

か?」

僕はうなずいた

痛みと苦痛で気を失ったこと

そのあと暗いトンネルにいたこと

誰かが手を振ってたこと

それは彼の父親だったこと…



「私の実の父が…?」

「うん…亡くなってたからあの世か

らサポートしてくれたらしい…でも

僕の親父はそれを聞いて“兄貴はま

だ死んでない”って確信したんだ…

もし兄貴がもう生きてなかったらそ

の人に代わって僕を助けにくるはず

だろ…って」

「私の父はもうあの世に逝ってるの

か…むこうで会えるかもね…私が覚

えていたらだけど」

僕は少し動揺したが答えた

「…うん…きっとね…迎えに来てく

れるよ…僕は追い返されたけど」

彼はとても幸せそうに微笑んだ

僕はまた複雑な気分になっていた

すると彼は僕をじっと見て

そして僕にキスをした

「ありがとう…話してくれて…やっ

ぱり君は私を助けに来てくれたんだ

ね…私が一番聞きたかったことを君

が話してくれるなんて…奇跡だよ…

なんてことだろう…」



そして彼は

僕が初めて会いに来る直前まで

死についてずっと考えていたことを

僕に話してくれた