病室に戻ると彼は背もたれを直さず
座ったままで眠っていた
待ってたのかな…
ベッドの中で3時間も人を待つのは
辛いだろう
「ただいま…横になろうね…」
このままでは身体に負担なので
背もたれを直そうと彼を起こした
「あれ…寝てた…」
眠そうな顔を挙げて彼が僕を見た
「目が赤い…」
「あ…いや…痒くてこすった」
「ごめん…泣かせた」
「ちがうよ」
すると彼は僕をじっと見て言った
「泣くならここで泣いて欲しいな」
「そん…な…」
「ひとりで泣かないで…お願い」
「だって…あなたが…辛くなる」
「泣いて帰ってきた君よりマシ」
彼はとても切ない顔をした
「…慰めさせてくれないかな…まだ
生きてるんだから…こうして」
彼はまた泣きそうな僕の手を
つかんで自分の方へ引き寄せた
引かれるままに僕はベッドに腰かけ
彼の腕の中に抱かれていた



