僕はそれから
とりあえず実家に戻った
彼の父が状況を説明するために
兄の病院から直接実家に
僕を送ってくれたのだ
オヤジに対する恨みや怒りは
記憶のない兄に逢って
どこかへ消えてしまった
秘密が秘密でなくなったいま
僕がもし発作を起こしても
それに対して恐怖感がない
実家に帰ってももう傷つく者はない
いつの間にかそんな日がきたことに
僕は少し遅れて気づいた
それは複雑な気持ちだった
ただの単純な安堵だけじゃなくて
秘密に怯えて暮らしてたあの歳月の
悔しさと悲しさとが
その秘密に終止符を打った
あの人との不思議な2ヶ月に
それでも僕は深く感謝した
僕は居場所を取り戻した
前とはちょっと違うけれど
僕が帰ってすぐ父と母が兄に会いに
あの病院へ行くことになった



