「な…に…?」

僕が先に言葉を求めていた

なんでもいいから

兄の言葉が聞きたかった

兄は少し言葉を探した

そしてこう言った

「本当に…?」

「なに…が…?」

なにを本当だと確かめたいの?

「本当に…私を愛してるの?」



弟かとかゲイなのかとか

そんなことではなく?

それを確かめたかったの?

僕はその言葉を

待ってた気がした

「ほんとだよ…」

涙が頬を伝った

「ずっと…愛してた」


言えた

これが言いたかったんだ

僕はそう感じた

心にあった重いカセが

軽くなったのを感じた



すると兄はためらいながら

僕に尋ねた

「私は…知ってたの?…君が私を愛

してたって…」

知ってたのかな…

僕はふと思った

知ってたかもしれない

それはでも

本当に伝わっていたのかな

「わからない…気づいてたかもしれ

ない…でももうそれを確かめるすべ

は…ないよ…」

それは

本当にそうなんだよ

でもそれでいい

そうじゃなきゃいけない

僕はあなたに2回も告白できた

それでいいんだよ



少しだけ自分の自棄を

許せるかも

そう思った

これで兄に拒絶されても

それを受け入れられる

そのあと壊れても

もういいか…とさえ