「自分を責めないでよ…」

立ち上がることのできた僕は

泣きながら兄に言った

「いつもそうなんだ…兄貴は…」

それを聞くと兄はフッと微笑んだ

「ようやく声が聞けた」

兄は少し照れくさそうに

僕から視線を外した

「いつしゃべってくれるかって」

そして付き添いの彼の方を向いた

「すみません…弟とふたりきりで話

したいんですが…いいですか?」



いきなりの言葉に僕はとまどった

二人きりになったら

僕…なにするかわからないよ

だが彼は軽く頷いた

「そうでしょう…わかりました…心

置きなくゆっくり話して下さい…」

「待って下さい…僕…」

僕は小さな声で彼を留めた

「いいんだよ」

「でも…僕は…」

「それでも…いいじゃないか…自分

を信じろ」

彼は僕の背中をポンポンと叩いた

「あの…でも…」

そう言う間もなく彼は病室から

あっけなく出ていった

追ったがドアを閉められてしまった



部屋には僕と兄の二人きりになった